相続・事業承継2018年10月1日時点の法令に基づく出題です
2019年5月 FP2級学科 問59
遺産分割対策に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 1公正証書遺言により遺産分割方法を指定しておくことは、遺産分割における相続人間のトラブルの発生を防止する対策として効果的である。
- 2分割が困難な土地を所有している場合に、相続開始前に相続人間で分割がしやすい資産に入れ替えておくことは、遺産分割対策として効果的である。
- 3被相続人が生前に推定相続人と話し合い、相続の放棄をする旨を家庭裁判所に申述させることは、遺産分割対策として効果的である。
- 4代償分割を予定している場合、特定の財産(遺産)を取得する相続人は、他の相続人に対して代償債務を負担しなければならないため、相続開始前に代償債務の履行財源(現金その他の財産)を確保しておくことが望ましい。
正解と解説AI解説
正解 肢3
本問の論点
遺産分割をめぐる相続人間の争いを防ぐ対策として、最も不適切なものを問う問題です。相続の放棄の位置づけがポイントです。
正解の根拠
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について放棄などをしなければならず(民法第915条第1項)、放棄をしようとする者は家庭裁判所に申述しなければなりません(民法第938条第1項)。放棄は相続の開始後に相続人自身が行う手続ですから、被相続人の生前に推定相続人へ申述させる方法は、遺産分割対策として成り立ちません。よって、正解は肢3。
各肢の検討
肢1:適切。公正証書遺言で分割方法を指定しておけば、相続人間の争いを防ぐ対策として有効です。
肢2:適切。分割が困難な土地を、生前に分けやすい資産へ入れ替えておけば、遺産分割が円滑に進みます。
肢3:不適切。放棄は相続の開始を知った後に家庭裁判所へ申述するもので、生前に申述させる対策は成立しません。
肢4:適切。代償分割では、財産を取得した相続人が他の相続人に代償債務を負うため、履行財源を事前に確保しておくことが望ましいです。
一言まとめ
相続の放棄は、相続開始後に家庭裁判所へ申述する手続です。「放棄は開始後」と覚え、生前の遺産分割対策とは区別しましょう。
一問一答各肢の正誤
○肢1公正証書遺言により遺産分割方法を指定しておくことは、遺産分割における相続人間のトラブルの発生を防止する対策として効果的である。
公正証書遺言で遺産分割方法を指定しておけば被相続人の意思が明確になり、相続人間のトラブルを防ぐ対策として効果的である。
○肢2分割が困難な土地を所有している場合に、相続開始前に相続人間で分割がしやすい資産に入れ替えておくことは、遺産分割対策として効果的である。
分割が困難な土地を相続開始前に分けやすい資産へ入れ替えておくことは、遺産分割を円滑にする対策として効果的である。
×肢3被相続人が生前に推定相続人と話し合い、相続の放棄をする旨を家庭裁判所に申述させることは、遺産分割対策として効果的である。
放棄は相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述して行うもので、生前に推定相続人へ申述させる対策は成立しない。
○肢4代償分割を予定している場合、特定の財産(遺産)を取得する相続人は、他の相続人に対して代償債務を負担しなければならないため、相続開始前に代償債務の履行財源(現金その他の財産)を確保しておくことが望ましい。
代償分割では財産を取得する相続人が代償債務を負うため、相続開始前に履行財源を確保しておくことが望ましい。
関連条文解説で引用
- 民法第938条第1項
- 民法第915条第1項
出典:日本FP協会 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験 2019年5月 問59 を加工して作成。本サイトは非公式の学習サイトです。
解説は2018年10月1日時点の法令に基づきます。基準日以降の改正が反映されていない場合があります。本サイトの解説は学習補助を目的とし、税務・投資・法律に関する助言ではありません。