相続・事業承継2018年10月1日時点の法令に基づく出題です
2019年5月 FP2級学科 問60
相続税の納税資金対策および事業承継対策に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 1「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」の適用を受ける場合、相続時精算課税制度の適用を受けることはできない。
- 2オーナー経営者への役員退職金の支給は、自社株式の評価額を引き下げる効果が期待できることに加え、相続時における納税資金の確保にもつながる。
- 3オーナー経営者の死亡により遺族へ支払う死亡退職金は、死亡後3年以内に支給額が確定した場合、相続税において退職手当金等の非課税限度額の適用を受けることができる。
- 4納付すべき相続税額について、延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合には物納が認められているが、物納に充てることができる財産の種類には申請順位があり、第1順位には国債、地方債、不動産、上場株式などが挙げられる。
正解と解説AI解説
正解 肢1
本問の論点
相続税の納税資金対策と事業承継対策について、最も不適切な記述を選ぶ問題である。非上場株式等の贈与税の納税猶予の特例と相続時精算課税制度の関係、役員退職金と死亡退職金、延納と物納の関係が問われている。
正解の根拠
租税特別措置法施行令第40条の4の7第2項は、相続時精算課税の適用を受けた特例経営承継受贈者を含めて扱う定めを置いており、特例の適用を受けると相続時精算課税の適用を受けられない、とはいえない。したがって肢1の記述は誤りである。よって、正解は肢1。
各肢の検討
肢1:誤り。上記のとおり、特例の適用を受けても相続時精算課税の適用を受けられる場合が想定されている。
肢2:正しい。役員退職金の支給は自社株式の評価額を引き下げる効果が期待でき、納税資金の確保にもつながる。
肢3:正しい。死亡後3年以内に支給額が確定した死亡退職金は、退職手当金等として相続税の非課税限度額の適用を受けられる。
肢4:正しい。物納は、延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合に認められる(相続税法第41条第1項)。第1順位には国債、地方債、不動産、上場株式などが挙げられる。
一言まとめ
特例措置と相続時精算課税を「併用できない」と言い切る記述は疑ってかかる。
一問一答各肢の正誤
×肢1「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」の適用を受ける場合、相続時精算課税制度の適用を受けることはできない。
特例の適用を受けても相続時精算課税の適用を受けられないわけではなく、両者の適用を受けた特例経営承継受贈者が想定されているため、記述は誤り。
○肢2オーナー経営者への役員退職金の支給は、自社株式の評価額を引き下げる効果が期待できることに加え、相続時における納税資金の確保にもつながる。
役員退職金の支給は退職金が損金となり自社株式の評価額を引き下げる効果が期待でき、相続時の納税資金の確保にもつながる。
○肢3オーナー経営者の死亡により遺族へ支払う死亡退職金は、死亡後3年以内に支給額が確定した場合、相続税において退職手当金等の非課税限度額の適用を受けることができる。
死亡後3年以内に支給額が確定した死亡退職金は退職手当金等として相続税の非課税限度額の適用を受けることができる。
○肢4納付すべき相続税額について、延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合には物納が認められているが、物納に充てることができる財産の種類には申請順位があり、第1順位には国債、地方債、不動産、上場株式などが挙げられる。
延納によっても金銭納付が困難な場合に物納が認められ、第1順位には国債、地方債、不動産、上場株式などが挙げられる。
関連条文解説で引用
- 租税特別措置法施行令第40条の4の7第2項
- 相続税法第41条第1項
- 相続税法第41条第2項第1号
- 相続税法第41条第2項第2号
出典:日本FP協会 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験 2019年5月 問60 を加工して作成。本サイトは非公式の学習サイトです。
解説は2018年10月1日時点の法令に基づきます。基準日以降の改正が反映されていない場合があります。本サイトの解説は学習補助を目的とし、税務・投資・法律に関する助言ではありません。