不動産2022年10月1日時点の法令に基づく出題です
2023年5月 FP2級学科 問43
不動産の売買契約に係る民法の規定に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。
- 1同一の不動産について二重に売買契約が締結された場合、譲受人相互間においては、所有権移転登記の先後にかかわらず、原則として、売買契約を先に締結した者が当該不動産の所有者となる。
- 2売買の目的物である建物が、その売買契約の締結から当該建物の引渡しまでの間に、台風によって全壊した場合、売主の責めに帰することができない事由であるため、買主は、売主に対する建物代金の支払いを拒むことはできない。
- 3不動産が共有されている場合、各共有者は、自己が有している持分を第三者に譲渡するときは、他の共有者全員の同意を得なければならない。
- 4売買契約締結後、買主の責めに帰することができない事由により、当該契約の目的物の引渡債務の全部が履行不能となった場合、買主は履行の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
正解と解説AI解説
正解 肢4
本問の論点
不動産の売買契約に関する民法の規定のうち、二重譲渡、危険負担、共有持分の譲渡、履行不能による解除を問う問題である。
正解の根拠
引渡債務の全部の履行が不能となった場合には、催告をしても履行される見込みがないため、買主は催告をすることなく直ちに契約を解除できる。なお、債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は解除をすることができない(民法第543条第1項)。肢4はこの制限に当たらない。よって、正解は肢4。
各肢の検討
肢1:不適切。二重譲渡の譲受人相互間では、契約の先後ではなく、所有権移転登記を先に備えた者が所有者となる。
肢2:不適切。当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる(民法第536条第1項)。買主が代金の支払を拒めなくなるのは、引渡しがあった時以後に目的物が滅失した場合である(民法第567条第1項)。
肢3:不適切。各共有者は、自己の持分を他の共有者の同意なく第三者に譲渡できる。
肢4:適切。引渡債務の全部の履行不能は、催告によらない解除ができる場合に当たる。
一言まとめ
引渡し前の不可抗力による滅失は「買主は代金の支払を拒める」、全部の履行不能は「無催告で解除できる」と整理する。
一問一答各肢の正誤
×肢1同一の不動産について二重に売買契約が締結された場合、譲受人相互間においては、所有権移転登記の先後にかかわらず、原則として、売買契約を先に締結した者が当該不動産の所有者となる。
不動産の二重譲渡では、譲受人相互間の優劣は売買契約の先後ではなく、所有権移転登記を先に備えたかどうかで決まる。
×肢2売買の目的物である建物が、その売買契約の締結から当該建物の引渡しまでの間に、台風によって全壊した場合、売主の責めに帰することができない事由であるため、買主は、売主に対する建物代金の支払いを拒むことはできない。
当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者である買主は代金の支払を拒むことができる。
×肢3不動産が共有されている場合、各共有者は、自己が有している持分を第三者に譲渡するときは、他の共有者全員の同意を得なければならない。
各共有者は、自己の持分を他の共有者の同意を得ることなく第三者に譲渡することができる。
○肢4売買契約締結後、買主の責めに帰することができない事由により、当該契約の目的物の引渡債務の全部が履行不能となった場合、買主は履行の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
買主の責めに帰することができない事由により引渡債務の全部が履行不能となった場合、買主は催告をすることなく直ちに契約を解除できる。
関連条文解説で引用
- 民法第536条第1項
出典:日本FP協会 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験 2023年5月 問43 を加工して作成。本サイトは非公式の学習サイトです。
解説は2022年10月1日時点の法令に基づきます。基準日以降の改正が反映されていない場合があります。本サイトの解説は学習補助を目的とし、税務・投資・法律に関する助言ではありません。